冬の詩

冬に関する詩や、冬をテーマにした詩の一覧です。

冬の詩

室生犀星 「切なき思いぞ知る」(詩集『鶴』より)

切なき思ひぞ知る 我は張り詰めたる氷を愛す。 斯かかる切なき思ひを愛す。 我はその虹にじのごとく輝けるを見たり。 斯る花にあらざる花を愛す。 我は氷の...
冬の詩

金子みすゞ 「大晦日と元日」「夢売り」(『金子みすゞ全集』より)

大晦日と元日 兄さまは掛取り、 母さまはお飾り、 わたしはお歳暮。 町じゅうに人が急いで、 町じゅうにお日があたって、 町じゅうになにか光って。 ...
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金子みすゞ 「山茶花」「郵便局の椿」「積もった雪」「淡雪」(『金子みすゞ全集』より)

山茶花 居ない居ない ばあ! 誰あやす。 風ふくおせどの 山茶花さざんかは。 居ない居ない ばあ! いつまでも、 泣き出しそうな ...
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立原道造 「のちのおもひに」(詩集『萱草に寄す』より)

のちのおもひに 夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に 水引草に風が立ち 草ひばりのうたひやまない しづまりかへつた午さがりの林道を うら...
冬の詩

高村光太郎 「冬が来た」(詩集『道程』より)

冬が来た きつぱりと冬が来た 八つ手の白い花も消え 公孫樹いてふの木も箒ほうきになった きりきりともみ込むような冬が来た 人にいやがられる冬 ...
冬の詩

高村光太郎 「樹下の二人」(詩集『智恵子抄』より)

樹下の二人 ――みちのくの安達が原の二本松松の根かたに人立てる見ゆ―― あれが阿多多羅山(あたたらやま)、 あの光るのが阿武隈川。 かうやつて言葉す...
冬の詩

中原中也 「汚れつちまつた悲しみに……」(詩集『山羊の歌』より)

汚れつちまつた悲しみに…… 汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは...
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萩原朔太郎 「竹」(詩集『月に吠える』より)

竹 ますぐなるもの地面に生え、 するどき青きもの地面に生え、 凍れる冬をつらぬきて、 そのみどり葉光る朝の空路に、 なみだたれ、 なみだをたれ、...
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三好達治 「雪」(詩集『測量船』より)

雪 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 作者と作品について 作者三好 達治(みよし たつじ) 19...
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宮沢賢治 「冬と銀河ステーシヨン」(『心象スケッチ 春と修羅』より)

冬と銀河ステーシヨン そらにはちりのやうに小鳥がとび かげろふや青いギリシヤ文字は せはしく野はらの雪に燃えます パツセン大街道のひのきからは 凍つた...
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宮沢賢治 「永訣の朝」(『心象スケッチ 春と修羅』より)

永訣の朝 けふのうちに とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ    (*あめゆじゆとてちてけんじや) う...
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山村暮鳥 「雪ふり蟲」「初冬の詩」「路上所見」「大風の詩」「風の方向がかはつた」(詩集『風は草木にささやいた』より)

雪ふり蟲 いちはやく こどもはみつけた とんでゐる雪ふり蟲を 而も私はまだ 一つのことを考へてゐる 初冬の詩 そろそろ都會がうつくしくなる ...
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山村暮鳥 「ランプ」「夜の詩」(詩集『風は草木にささやいた』より)

ランプ 野中にさみしい一けん家 あたりはもう薄暗く つめたく はるかに遠く ぽつちりとランプをつけた ぽつちりと點じたランプ ああ 何といふ眞實...
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八木重吉 「冬」「冬日」「霜」「お化け」「梅」(詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』より)

冬 木に眼めが生なって人を見ている 冬 悲しく投げやりな気持でいると ものに驚かない 冬をうつくしいとだけおもっている 冬日ふゆび 冬の日...
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