山村暮鳥 「ランプ」「夜の詩」(詩集『風は草木にささやいた』より)

ランプ

野中にさみしい一けん家
あたりはもう薄暗く
つめたく
はるかに遠く
ぽつちりとランプをつけた
ぽつちりと點じたランプ
ああ
何といふ眞實なことだ
これだ
これだ
これは人間をまじめにする
わたしは一本の枯木のやうだ
一本の枯木のやうにこの烈風の中につつ立つて
ランプにむかへばおのづから合さる手と手
其處にも人間がすんでゐるのだ
ああ何もかもくるしみからくる
ともすれば此の風で
ランプはきえさうになる
そうすると
私もランプと消えさうになる
かうして力を一つにしながら
ランプも私もおたがひに獨りぼつちだ

夜の詩

あかんぼを寢かしつける
子守唄
やはらかく細くかなしく
それを歌つてゐる自分も
ほんとに何時いつかあかんぼとなり
ランプも火鉢も
急須も茶碗も
ぼんぼん時計も睡くなる

作者と作品について

  • 作者

山村 暮鳥(やまむら ぼちょう)
1884年(明治17年)~1924年(大正13年)
群馬県生まれ

  • 作品

「ランプ」も「夜の詩」も、詩集『風は草木にささやいた』に収められている作品です。
冬の真っ暗闇に灯る、炎の暖かさを感じさせる詩ですね。

暮鳥の作品というと、詩集『雲』にあるいくつかの詩や、「風景 純銀もざいく」などが有名かもしれませんが、『風は草木にささやいた』のなかにも、素晴らしいものは沢山あります。
この詩集は、力強い人間らしさを感じます。

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冬の詩
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