金子みすゞ 「どんぐり」「梨の芯」(『金子みすゞ全集』より)

どんぐり

どんぐり山で
どんぐりひろて、
お帽子にいれて、
前かけにいれて、
お山を降りりゃ、
お帽子が邪魔よ、
すべればこわい、
どんぐり捨てて
お帽子をかぶる。
お山を出たら
野は花ざかり、
お花をめば、
前かけ邪魔よ
とうとうどんぐり
みんな捨てる。

梨の芯

梨の芯はすてるもの、だから
芯まで食べる子、けちんぼよ。

梨の芯はすてるもの、だけど
そこらへほうる子、ずるい子よ。

梨の芯はすてるもの、だから
芥箱ごみばこへ入れる子、お利巧よ。

そこらへすてた梨の芯。
蟻がやんやら、ひいてゆく。
「ずるい子ちゃん、ありがとよ。」

芥箱へいれた梨の芯、
芥取爺さん、取りに来て、
だまってごろごろひいてゆく。

作者と作品について

  • 作者

金子 みすゞ(かねこ みすず)
1903年(明治36年)~1930年(昭和5年)
山口県生まれ

  • 作品

「どんぐり」「梨の芯」も、秋の木の実が描かれていて、どちらもユニークな詩ですね。

「どんぐり」では、せっかくどんぐりを帽子や前かけに入れたのに、山を降りたり、野に出たりするうちに、しまいにはどんぐりを全部捨てちゃうんですね!(もったいない!)
でも私も、どんぐりではないにしても、小さいころに似たような経験をしたかもしれないな……と思いました。
子どものころに山で見つけた宝物って、どうしても多くは持ちきれないものなんですよね。でも、思い出こそが、一番の宝物なのかなと思いました。

「梨の芯」は、ずるい子がほおった梨の芯を、蟻がひいてゆくところが面白いです!
人間の目から見れば、ずるい子であっても、蟻の目から見れば、ありがたい存在なんですね。
大人のずるいところは、子どもを「けちんぼ」とか「お利巧」とか、そんな風に評価分けしてしまうところなのかもしれませんが、本当はどんな子どもも、それぞれ意味があって魅力があるのではないかと感じます。

みすゞさんの童謡は、子どもの視点に立ったもの、そして、大らかな世界の視点に立ったものが多く、読んでいてほっとさせられます。

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