夏の詩

夏に関する詩や、夏をテーマにした詩の一覧です。

夏の詩

北原白秋「落葉松」(詩集『水墨集』より)

落葉松 一 からまつの林を過ぎて、 からまつをしみじみと見き。 からまつはさびしかりけり。 たびゆくはさびしかりけり。 二 からまつの林を...
夏の詩

金子みすゞ 「なぞ」「蝉のおべべ」「蓮と鶏」「このみち」(『金子みすゞ全集』より)

なぞ なぞなぞなァに、 たくさんあって、とれないものなァに。   青い海の青い水、   それはすくえば青かない。 なぞなぞなァに、 なんにもなく...
夏の詩

金子みすゞ 「朝顔の蔓」「たもと」「向日葵(ひまわり)」(『金子みすゞ全集』より)

朝顔の蔓 垣がひくうて 朝顔は、 どこへすがろと さがしてる。 西もひがしも みんなみて、 さがしあぐねて かんがえる。 それでも ...
夏の詩

北原白秋 「海の向う」(童謡)

海の向う さんごじゆの花が咲いたら、 咲いたらといつか思つた、 さんごじゆの花が咲いたよ。 あの島へ漕いで行けたら、 行けたらといつか思つた、 ...
夏の詩

島崎藤村 「椰子の實」 (詩集『落梅集』より)

椰子の實 名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の實一つ 故郷ふるさとの岸を離れて 汝なれはそも波に幾月 舊もとの樹は生ひや茂れる 枝はなほ影を...
夏の詩

立原道造 「夏花の歌」(詩集『萱草に寄す』より)

夏花の歌   その一 空と牧場のあひだから ひとつの雲が湧きおこり 小川の水面に かげをおとす 水の底には ひとつの魚が 身をくねらせて 日に光る...
夏の詩

高村光太郎 「人に」(詩集『智恵子抄』より)

人に 遊びぢやない 暇つぶしぢやない あなたが私に会ひに来る ――画もかかず、本も読まず、仕事もせず―― そして二日でも、三日でも 笑ひ、戯れ、飛び...
夏の詩

中原中也 「夏の日の歌」(詩集『山羊の歌』より)

夏の日の歌 青い空は動かない、 雲片(ぎれ)一つあるでない。   夏の真昼の静かには   タールの光も清くなる。 夏の空には何かがある、 いぢら...
夏の詩

萩原朔太郎 「中學の校庭」(詩集『純情小曲集』より)

中學の校庭 われの中學にありたる日は 艶なまめく情熱になやみたり いかりて書物をなげすて ひとり校庭の草に寢ころび居しが なにものの哀傷ぞ はるかに...
夏の詩

室生犀星 「夏の朝」「砂山の雨」「蝉頃」(詩集『抒情小曲集』より)

夏の朝 なにといふ虫かしらねど 時計の玻璃のつめたきに這ひのぼり つうつうと啼く ものいへぬむしけらものの悲しさに 砂山の雨 砂山に雨の消えゆく...
夏の詩

山村暮鳥 「西瓜の詩」(詩集『雲』より)

西瓜の詩 農家のまひるは ひつそりと 西瓜のるすばんだ 大でつかい奴がごろんと一つ 座敷のまんなかにころがつてゐる おい、泥棒がへえるぞ わたしが...
夏の詩

八木重吉 「水や草はいい方々である」「かなかな」「西瓜を喰おう」「稲妻」(詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』より)

水や草は いい方方かたがたである はつ夏の さむいひかげに田圃たんぼがある そのまわりに ちさい ながれがある 草が 水のそばにはえてる みいんな ...
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