秋の詩

秋に関する詩や、秋をテーマにした詩の一覧です。

秋の詩

北原白秋「片恋」(詩集『東京景物詩乃其他』より)

片恋 あかしやの金きんと赤とがちるぞえな。 かはたれの秋の光にちるぞえな。 片恋かたこひの薄着うすぎのねるのわがうれひ 曳舟ひきふねの水のほとりをゆくこ...
秋の詩

金子みすゞ 「どんぐり」「梨の芯」(『金子みすゞ全集』より)

どんぐり どんぐり山で どんぐりひろて、 お帽子にいれて、 前かけにいれて、 お山を降りりゃ、 お帽子が邪魔よ、 辷すべればこわい、 どんぐり捨...
秋の詩

金子みすゞ 「もくせい」「もくせいの灯」「曼珠沙華」「花のお使い」「紋附き」(『金子みすゞ全集』より)

もくせい もくせいのにおいが 庭いっぱい。 表の風が、 御門のとこで、 はいろか、やめよか、 相談してた。 もくせいの灯 お部屋にあかい...
秋の詩

北原白秋 「曼珠沙華」(詩集『思ひ出』より)

曼珠沙華 GONSHAN. GONSHAN. 何處(どこ)へゆく、 赤い、御墓(おはか)の曼珠沙華(ひがんばな)、 曼珠沙華(ひがんばな)、 けふも手折...
秋の詩

島崎藤村 「初恋」(詩集『若菜集』より)

初恋 まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の 林檎(りんご)のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛(はなぐし)の 花ある君と思ひけり やさしく白き手...
秋の詩

立原道造 「忘れてしまつて」(詩集『萱草に寄す』より)

忘れてしまつて 深い秋が訪れた!(春を含んで) 湖は陽にかがやいて光つてゐる 鳥はひろいひろい空を飛びながら 色どりのきれいな山の腹を峡の方に行く ...
秋の詩

立原道造 「やがて秋……」(詩集『暁と夕の詩』より)

やがて秋…… やがて 秋が 来るだらう 夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ 樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに あらはなかげをくらく夜の方に投げ す...
秋の詩

高村光太郎 「レモン哀歌」(詩集『智恵子抄』より)

レモン哀歌 そんなにもあなたはレモンを待つてゐた かなしく白くあかるい死の床で わたしの手からとつた一つのレモンを あなたのきれいな歯ががりりと噛ん...
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中原中也 「蜻蛉に寄す」(詩集『在りし日の歌』より)

蜻蛉に寄す あんまり晴れてる 秋の空 赤い蜻蛉(とんぼ)が 飛んでゐる 淡(あは)い夕陽を 浴びながら 僕は野原に 立つてゐる 遠くに工場の 煙突...
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中原中也 「一つのメルヘン」(詩集『在りし日の歌』より)

一つのメルヘン 秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、 小石ばかりの、河原があつて、 それに陽は、さらさらと さらさらと射してゐるのでありました。 ...
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萩原朔太郎 「蝶を夢む」(詩集『蝶を夢む』より)

蝶を夢む 座敷のなかで 大きなあつぼつたい翼はねをひろげる 蝶のちひさな 醜い顏とその長い觸手と 紙のやうにひろがる あつぼつたいつばさの重みと。 わた...
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萩原朔太郎 「廣瀬川」「晩秋」(詩集『純情小曲集』『氷島』より)

廣瀬川 廣瀬川白く流れたり 時されば皆幻想は消え行かむ。 われの生涯らいふを釣らんとして 過去の日川邊に糸をたれしが ああかの幸福は遠きにすぎさり ...
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三好達治 「朝はゆめむ」(詩集『故郷の花』より)

朝はゆめむ ところもしらぬやまざとに ひまもなくさくらのはなのちりいそぐを いろあはきさくらのはなのひまもなくななめにちるを あさはゆめむ さくらのは...
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室生犀星 「秋の日」「小曲」「月草」「くらげ」「静かなる空」「朱き葉」(詩集『抒情小曲集』より)

秋の日 つかの間に消え去りし つかの間に消え去りしは あきつのかげにあらざるか ぐらすのごとき秋の日に かげうち過ぐるもの わが君のかげにあらざ...
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室生犀星 「時無草」「秋の終り」(詩集『抒情小曲集』より)

時無草 秋のひかりにみどりぐむ ときなし草は摘みもたまふな やさしく日南にのびてゆくみどり そのゆめもつめたく ひかりは水のほとりにしづみたり とも...
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山村暮鳥 「りんご」「赤い林檎」(詩集『雲』より)

りんご 兩手をどんなに 大きく大きく ひろげても かかへきれないこの氣持 林檎が一つ 日あたりにころがつてゐる 赤い林檎 林檎を...
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八木重吉 「秋」「果物」「壁」「障子」「木」「素朴な琴」「響」「秋のひかり」(詩集『貧しき信徒』より)

秋 こころがたかぶってくる わたしが花のそばへいって咲けといえば 花がひらくとおもわれてくる 果物 秋になると 果物はなにもかも忘れてしまって ...
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八木重吉 「秋の かなしみ」「草の 実」「秋」「秋の日の こころ」「白い 雲」「秋の 壁」「ちいさい ふくろ」(詩集『秋の瞳』より)

秋の かなしみ わがこころ そこの そこより わらひたき あきの かなしみ あきくれば かなしみの みなも おかしく かくも なやまし ...
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