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八木重吉 「花がふってくると思う」「花」「桜」「陽遊」「豚」(詩集『貧しき信徒』より)

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花がふってくると思う

花がふってくると思う
花がふってくるとおもう
この てのひらにうけとろうとおもう

おとなしくしてると
花花が咲くのねって 桃子が言う

綺麗な桜の花をみていると
そのひとすじの気持ちにうたれる

陽遊かげろう

さすがにもう春だ
気持も
とりとめの無いくらいゆるんできた
でも彼処あそこにふるえながらたちのぼる
陽遊のような我慢しきれぬおもいもある

ぶた

この 豚だって
かわいいよ
こんな 春だもの
いいけしきをすって
むちゅうで あるいてきたんだもの

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作者と作品について

  • 作者

八木 重吉(やぎ じゅうきち)
1898年~1927年
東京生まれ

  • 作品

「花がふってくると思う」「花」「桜」「陽遊」「豚」は、第二詩集『貧しき信徒』に収録されています。
重吉本人が編集した詩集は、第一詩集の『秋の瞳』と合わせて、二冊しかありません。
29歳の若さで亡くなっていますが、残された詩の数は2000を超えています。

「花がふってくると思う」は、詩集で見ると、秋を思わせる詩が並んでいる中に載せられているため、もしかしたら秋の情景を歌ったのかもしれません。
それでも私としては、春を予感させる詩のように思ったので、春のカテゴリーに掲載することにしました。

「花」に出てくる桃子さんは、長女のお名前です。
詩集に度々登場していて、家族思いの様子が感じられます。

「豚」のような、生命をユーモラスに歌っている作品も多いです。

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